自己脂肪組織由来の幹細胞を使った再生医療
間葉系幹細胞の再生医療とは
これまで間葉系幹細胞治療は、骨髄由来のものを使用してきました。ところが、骨髄由来の幹細胞は採取できる量が限られており、移植するには体外で培養し、増殖しなければならないことが多く、感染や異物の混入などを防ぐための幹細胞培養施設(CPC)も必要になります。
一方、最近、注目されているのが脂肪由来の「間葉系幹細胞」です。2001年に骨髄由来と同等の能力があり、なおかつ、より大量に確保できる脂肪由来の「間葉系幹細胞」が発見されてからは、これを関節軟骨などの再生治療に応用する研究が行われるようになりました。
脂肪組織の中には、多能性幹細胞(Muse)が他の組織よりも豊富にあることが判明し注目を集めています。Muse細胞は、ES 細胞と比べ腫瘍形成能は低いと考えられていて、いわゆる山中遺伝子の導入によって効率的に iPS 細胞に変化するため Muse 細胞における研究の進展が期待されています。
当院では、自己由来脂肪幹細胞を用いた変形性膝関節症の治療をはじめ、第二種再生医療、第三種再生医療をおこなっている複数の再生医療クリニックと提携して治療をおこなっています。
間葉系幹細胞の特徴
- 体性幹細胞の一つ
- 免疫コントロール、炎症抑制などの機能もある
- 脂肪組織内の量が最も高いと言われている
- 由来組織によって能力が異なる
間葉系幹細胞の種類
間葉系幹細胞を使用した再生医療には二種類あります。 それは、培養タイプと非培養タイプです。
培養タイプ
- 細胞を増やして使用
- 2000万個以上(国内では5000万個)
- CPC(Cell Processing Center)など培養施設が必要
非培養タイプ
- 組織にある幹細胞を集めて使用する
- 脂肪由来幹細胞が多い
- 特別な装置を使う
間葉系幹細胞治療のポイント
- 痛みは関節内の状態に依存
- 修復力の活性化は継続する
- 注入した細胞はなくなるが、修復力は継続する
(1年以上継続、PRP療法では3ヶ月程度)
間葉系幹細胞治療当日の流れ
- 脂肪細胞を数グラム採取(耳かき3杯程度)
- 骨髄穿刺(10ml程度)
- 血液を採取(培養時に使用)
- 3~4週間培養
- 患部に注入
※上記は培養の場合となります。
間葉系幹細胞治療全体の流れ
行 動 |
場 所 |
|
---|---|---|
7日前~ | 事前鍼灸治療 |
当院 |
当日採取 | 採取(脂肪・骨髄・血液) |
再生医療クリニック |
翌日~27日 | 鍼灸治療・トレーニング |
当院 |
28日後 | 培養できたら注入 |
再生医療クリニック |
28日後~ | 鍼灸治療・トレーニング |
当院 |
※症状の度合いによって異なりますが、鍼灸治療は週1回を目安におこない、その他の日は自宅で簡単なトレーニングをして機能再生を促進させてもらいます。